保育のお仕事にお役立ち
昨年、新生児がエコーウイルス11型に感染し、3人が命を落とすという深刻なケースが発生しました。
このウイルスは風邪の一因ともされており、厚生労働省は今年2月から、その実態を明らかにするための調査を開始しています。
また、日本小児科学会は昨年12月に、医療関係者に対して警戒を呼びかける通知を出しました。このウイルスについて、どのような特徴があるのでしょうか。
(※2025年3月19日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
エコーウイルス11型の症状と感染経路について
エコーウイルス11型は、感染しても明らかな症状が見られない場合がありますが、一方で風邪のような体調不良を引き起こすこともあります。
さらに、まれにではありますが、無菌性髄膜炎や脳炎といった深刻な疾患につながることも報告されています。
このウイルスは、排泄物やくしゃみ・咳などの飛沫を通じて他者にうつることがあります。
新生児における重症感染事例と国内での感染状況
国立感染症研究所の報告によりますと、昨年の8月から11月にかけて、ある医療機関において急性肝不全などを発症した新生児3人が亡くなったケースが確認されています。
また、国内の感染状況に関する同研究所の調査では、昨年11月末までに計44件の感染が登録されており、そのうち重い症状が疑われる髄膜炎および脳炎が11件、肝炎に関するものが2件報告されました。
エコーウイルス11型に関する厚労省の報告要請と調査の概要
厚生労働省は本年2月、エコーウイルス11型に関連するとみられる症例について、報告を促す通知を発出しました。
特に、生後3か月未満の乳児が急性肝不全など重篤な症状で入院し、当該ウイルスの感染が疑われる場合には、保健所への届け出と検査の実施を求めています。
この調査活動は、来年3月まで継続される予定です。
エコーウイルス11型への対策は基本的な予防行動が鍵
国立感染症研究所の神垣太郎サーベイランス総括研究官は、エコーウイルス11型に関して
「このウイルスは多様な症状を引き起こす可能性があり、現時点では重症化が進んでいるかどうかの判断は難しい」
と述べています。
その上で、
「手洗いの徹底や咳エチケット、体調がすぐれない際に速やかに医療機関を受診するなど、日常的な感染予防を心がけることが大切です」
と語っています。